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第32話 綻び

Author: 酔夫人
last update Petsa ng paglalathala: 2026-08-01 19:00:13

「小春は、本当に静養しているだけなのか」

もう何度目かも分からない問い。

「もちろんです」

皆川隆盛の静かな問いに、朝比奈崇道は内心の苛立ちを隠して答える。

「婚約破棄のことは聞いた」

崇道の身体が震えた。

取り乱すなと自分に言い聞かせ、崇道は顔に穏やかな笑みを浮かべる。

「若い二人のことですし、小春にも至らないところがございましたので」

「……そうか」

納得していない皆川の声音に、崇道は背を汗が伝うのを感じた。

「小春の療養は、心理的なものもあるのか?」

崇道は内心喜んだ。

婚約破棄のことを隠しておくつもりだったが、かえってそれが、小春がここにいない良い理由になった。

「長く婚約していた相手です。気が合わなくとも、婚約破棄となれば精神的に疲れてしまったのでしょう」

「それで、静かな場所で療養か」

隆盛はゆっくりと頷く。

「君は、どう思っている?」

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